冬の冷たい空気が漂う2026年1月10日、宮城教育大学のキャンパスにて科学者の卵養成講座 ジュニア基礎コースの第4回特別講義が開催されました。
年明け最初の講義ということもあり受講生たちは少し緊張した面持ちで会場に集まりつつも、久しぶりに顔を合わせた仲間との再会を楽しんでいる様子も見られました。
今回の講義は、岩手県立大学 ソフトウェア情報学部の市川尚先生による「ドローンをプログラムで動かそう!」です。
市川先生は教育用ドローン「Tello」を活用したプログラミング教育に長く携わっており、ドローンの基礎構造から自律飛行の仕組み、さらには社会での応用まで幅広く紹介してくださいました。
受講生たちは普段の学校生活ではなかなか触れる機会のない先端技術に直接触れながら、プログラミングの考え方や実験的に試す姿勢の大切さを学んでいきました。
講義の冒頭では、まずドローンとは何か、どのような仕組みで飛行しているのかについて説明がありました。
市川先生は、ドローンのプロペラが互いに逆回転している理由や前後左右への移動がどのように制御されているのかを、図を用いながら丁寧に解説しました。
普段は「空を飛ぶ小型の機械」というイメージで見ていたドローンが、実は高度なセンサー制御とプログラムによって安定飛行を実現していることに驚いた様子の受講生もいました。
特に、進みたい方向とは逆側のプロペラの回転数を上げることで姿勢を調整するという説明には、「なるほど」「そういう仕組みなんだ」といった声が上がり理解が深まっていく様子が見られました。
また、市川先生はドローンが社会でどのように活用されているかについても紹介しました。
災害時の被害状況確認、山間部や離島への物資輸送、橋梁やダムの点検、農業での生育状況の把握、さらにはエンターテインメントとしてのドローンショーなど、多岐にわたる事例が示されました。受講生たちは、ドローンが単なる飛ぶおもちゃではなく、社会のさまざまな場面で重要な役割を果たしていることを実感したようでした。



講義の前半では、iPadにインストールされたTelloというアプリを使い、実際にドローンを操縦する体験が行われました。
受講生たちはグループごとにドローンを受け取り、まずは電源を入れてWi-Fiで接続し、離陸、着陸、前後の移動など基本的な操作を試しました。
Wi-Fi接続がうまくいかない場面もありましたが、受講生たちはドローンを再起動してみたり、iPad側のWi-Fi設定を見直したりと、それぞれに工夫しながら問題解決に取り組んでいました。
こうしたトラブルシューティングの経験も、プログラミングや実験を行う上で欠かせない大切な学びであるのだと実感しました。
実際にドローンがふわりと浮かび上がると、それぞれのグループで小さな歓声が上がりました。
もともと学校でドローンに触れたことのある子が多く、受講生たちは落ち着いて操作を進め、少しずつ思い通りに動かせるようになっていきました。
机の間をすり抜けるように移動させたり、決めた地点に着陸させたりと、グループごとに工夫しながら操縦を楽しんでいました。



講義の後半ではPCにインストールされたScratchを使って、ドローンの自律飛行プログラムを作成する演習が行われました。
Scratchはブロックを組み合わせてプログラムを作ることができるため、プログラミング初心者でも直感的に操作できます。
受講生たちは始めに、離陸、上昇、前進、旋回、着陸といった基本的な動作を組み合わせて、四角形や六角形などの軌道を描くプログラムに挑戦しました。
教室の天井があまり高くないこともあり、「まずは30cmだけ上昇させてみよう」「机の高さを基準にしよう」など、衝突を避けるための工夫をグループ内で話し合いながら進めていました。
プログラムを実行して思い通りに動いたときには、グループ内で拍手が起こる場面もありました。
一方でうまく動かないときには、どのブロックが原因なのかを探して何度も修正を重ねる姿が見られました。
まさに「考える、作る、動かす、直す」というプログラミングのサイクルを体験する時間となりました。
市川先生は「じっくり考えるのも大切だけど、まずはやってみるのも大切」と受講生たちに声をかけて、試行錯誤しながら学ぶ姿勢を後押ししていました。
この言葉はプログラミングに限らず、いろんな探究の場面で役に立つ大事な考え方であるように感じました。日常生活でもふと意識すると世界の見え方が少しだけ変わるかもしれません


演習ではさらに、Telloが下向きカメラで読み取るマーカーであるミッションパッドを使った位置制御にも挑戦しました。
ミッションパッドを読み取ることでドローンは自分の位置をより正確に把握し、指定した座標へ移動することができます。
受講生たちはミッションパッドの上にドローンを置いて離陸し、別のパッドを経由して元の位置に戻るといった課題に取り組みました。
座標を指定する際には、x・y・z軸の向きや距離を正しく理解する必要があり、グループ内で図を描きながら確認する姿も見られました。
ミッションパッドを使った飛行は、通常の前進、後退、旋回といった操作と比較して難易度が高く、ドローンが思わぬ方向へ進んでしまうこともしばしば見られました。
しかし受講生たちは、そのたびに原因を探り座標の指定方法や速度の設定を見直しながら、少しずつ操作の精度を高めていきました。

今回の講義を通して、受講生たちはドローンの仕組みやプログラミングの基礎だけでなく、先端技術が社会でどのように活用されているのかについても理解を深めることができました。
ドローンは単に飛行するだけでなく、カメラやセンサーを搭載することでさまざまなデータを取得し、社会の課題解決に役立てることができます。
今回の講義で体験した自律飛行は、その基礎となる技術の一端です。
受講生たちからは、「自分で作ったプログラムで動くのが楽しかった」「もっと複雑な動きにも挑戦したい」「将来、ドローンを使った研究をしてみたい」といった声が聞かれ、学びへの意欲がさらに高まった様子がうかがえました。

冬の宮城教育大学に集まった受講生たちの熱気と探究心が印象的だった今回の特別講義。
ドローンという先端技術を題材に、プログラミングの基礎から応用までを体験的に学ぶことができた貴重な時間となりました。
科学者の卵養成講座では、これからも受講生の興味や関心を深めながら科学的なものの見方を育む講義が続いていきます。
今後の講座でも、また新しい気づきや挑戦が生まれることを楽しみにしています。
次回の講座は2月14日(土)に開催されます。
仙台も少しずつ冬の寒さが深まり、季節の移ろいを感じる頃になりました。受講生の皆さんも体調に気をつけて、また元気にお会いできるのを楽しみにしています。
学生メンター 野呂