7月の強い日差しが照りつける中、じりじりと焼けるような暑さに包まれた東北大学のキャンパスでは夏の盛りを感じさせていましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
2025年7月26日(土)に高校生プログラムの第2回講義が行われました。
当日は猛暑の中、全国から集まった受講生たちが、第1回のときよりも少しリラックスした表情で来てくれました。
前半の講義は、東北大学理学研究科の金田雅司先生による「クォーク多体系の実験研究~宇宙の物質進化の謎にせまる~」という講義が行われました。
私たちの身の回りの物質を構成する原子の内部にある、クォークやグルーオンといった素粒子のふるまいを、加速器実験を通じて解き明かす研究について紹介されました。
金田先生は、自身の研究経験をもとに、CERNやブルックヘブン国立研究所での実験現場のエピソードを交えつつ、宇宙誕生直後のクォーク・グルーオン・プラズマの探求や、中性子星におけるハイペロン相互作用の謎など、高校物理では感じることのできない最先端の物理研究の面白さをわかりやすく解説してくださいました。
そして後半の講義では、東北大学生命科学研究科の渡辺正夫先生が「進化論を唱えたダーウィンも注目した高等植物の自家不和合性」と題して、植物の生殖に関する講義を行いました。
自家不和合性とは、同じ植物個体からの花粉では受精が起こらないようにする「自他識別」の仕組みのことで、遺伝的多様性の維持に重要な役割を果たします。講義では、アブラナ科植物に見られる分子レベルの識別メカニズムや、この性質を利用した品種改良技術の歴史、さらには「進化の逆回転」によって自家不和合性を再構築した研究の紹介など、盛りだくさんの内容が展開されました。
特に印象的だったのは、休憩時間でさえも質問の列が絶えなかったことです。
時間が足りず講義中に質問できなかった受講生たちが自主的に講師のもとを訪れ、質問をする姿が多く見られました。
大学レベルの難しい内容でありながらも、高校生たちが自ら考え、理解を深めようとする姿勢が会場全体に広がっていました。
また、OGとして参加した私自身にとっても、高校生の皆さんと直接交流しながら、科学に対する素直な疑問や柔軟な発想に触れる貴重な機会となりました。グループディスカッションの中で「大学で物理を学んでみたいと思った」「もともと植物に興味があったが、研究をしてみたいと思うようになった」といった受講生の声も聞かれ、科学への関心と探究心が確実に育まれていることを実感しました。
次回の講義も、科学の奥深さを体感できるテーマが予定されています。今回得た学びや刺激を胸に、受講生たちがさらに成長していく姿が今から楽しみです。
今回の記事は、メンターの山本(OG・東北大学農学研究科)が担当いたしました。