2月3日(土)、高校生プログラムの第9回特別講義が、オンライン配信と直接対面によるハイブリッド開催で行われました。2週続けての高校生プログラムとなりましたが、この第9回が、今年度の基礎コース最後の講義となります。講義開始前に行われる、受講生とメンターとの交流会も今回が最後です。
第9回、最初の講義は、安藤 晃先生(大学院工学研究科・教授)による「プラズマと核融合」です。
安藤先生がプラズマの研究を始めた頃は、一部の人からは「オカルト」扱いされることもあったというプラズマ。今回、安藤先生は、講義の始めに装置を使った実験を行いました。
受講生が蛍光灯をもち、装置の先端に蛍光灯を近づけると・・・
蛍光灯が点灯し、受講生は「人間発電機」の状態に。装置の先端にプラズマが発生し、そこからできた電気が蛍光灯を通って、体に流れていく様子が観察できました。
講義では、このプラズマが宇宙惑星探査ロケットの燃料として応用されていることや、新しいエネルギーとして注目されている「フュージョンエネルギー(核融合エネルギー)」についてのお話がありました。核融合と核分裂の違いや、アインシュタインの相対性理論など、難しい内容もありましたが、受講生は興味深そうに聞いていました。
「日本の抱えているエネルギー問題の一つに『カーボンニュートラル』の問題があります。日本は2050年までにカーボンニュートラルを達成する目標を掲げていますが、それによって最近注目されているのがフュージョンエネルギー(核融合エネルギー)です。受講生の皆さんが大学・大学院に進学して、社会に出るころには、このフュージョンエネルギーが現実のものとなってくる時期なのではないかと思います。皆さんには、ぜひエネルギーを『正しく使う』ということについて努力して頂きたいと思います。」(安藤先生)
休憩中に装置の周りに集まる受講生のみなさん。怖々装置に手を近づけてみたりしていましたが、なんだかとても楽しそうです!
続いての講義は、滝澤 博胤先生(大学院工学研究科・教授)による、「化学反応の場を探る~マテリアル・デザインと新物質探索~」です。
滝澤先生は、新しい機能を持った材料を作る、無機化学の、主に「固体」を合成する分野の研究をされています。
「残念ながら思い描いた物質がすべて合成できるかというと、そうはいきません。化学というのは、自然界の法則には逆らえないのです。しかしその自然界の法則から逃れる場として、例えば私の研究では、マイクロ波を使用しています。化学というのは、周期表を元に元素の組み合わせを選んで自在に機能を設計する、それにとどまらず、最終的にはその設計を元に組立てる。そのためには様々な材料プロセッシングをどのような「場」でやるのか、それが非常に大切になります。受講生の皆さんには、化学というのは、非常に奥が深く、幅の広い学問であるということをイメージ頂けたら幸いです。」(滝澤先生)
新しい材料をつくるという興味深い分野の講義に、会場からもオンラインからもたくさんの質問が挙がり、関心の高さが窺えました。
特別講義のあと、受講生から先生方への質問タイムとなりました。講義をしていただいた安藤先生、滝澤先生、科学者の卵養成講座実行委員の渡辺 正夫先生(大学院生命科学研究科・教授)が登壇して、受講生の様々な質問・疑問に回答していただきました。
質問は、「どうしたらチャレンジ精神を保てるのか」「グローバルに活躍する研究者というのは具体的にどういう研究者を指すのか」といった質問から、大学の研究費などに関する質問や、大学院修士・博士課程へ進学する時の試験内容や、大学院を卒業した後の就職についてなど多岐に渡り、受講生のみなさんが、既に、大学進学後の未来を見据えていることが窺える質問タイムとなりました。
以上で、2023年度科学者の卵養成講座 高校生プログラム 基礎コース特別講義がすべて終了です。受講生のみなさん、長い期間お疲れ様でした。
これまでの特別講義の受講を通して、どのような感想を持ったでしょうか。ぜひブログに、みなさんの感想を寄せて頂ければと思います。
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次回、第10回にあたる3月9日は、令和5年度発表会と閉講式(対面開催のみ※オンライン配信はありません)になります。
この発表会では、研究発展コース・研究推進コースで研究を行っていない人でも、個人で研究発表を行うことが可能です。学校で行っている研究などがあれば、ぜひ発表してみませんか。詳しくは事務局までご連絡ください。