1月27日(土)、2024年初開催となる、高校生プログラムの特別講義が、オンライン配信と直接対面によるハイブリッド開催で行われました。前日までの大寒波で仙台も雪模様となりましたが、会場には多くの受講生が集まり、久しぶりの再会に話も弾んでいるようでした。
最初の講義は、高木 浩一 先生(岩手大学理工学部 教授)による「電気エネルギーの時空間制御とその利用~エネルギーインフラから農水食利用まで~」です。講義では、この研究分野の学問的体系、電気エネルギーの基礎、さらにその電気エネルギーの応用が多種の分野に及んでいることについて、事例を交えてお話頂きました。
光化学スモッグを打ち消す技術や、キノコの菌糸に電気刺激を与えることによりキノコを増産させる技術など、その様々な利活用に興味を持つ受講生も多かったようです。グループディスカッションでは活発な意見交換が行われていました。
「このような研究をやろうと思うみなさんにとって大切なことは何か。それは、この研究テーマの学問体系を見てみると、基礎になっているのはエネルギー変換工学や電気工学、さらに物理や生物で、今、みなさんが高校で一生懸命学習していること、それがこのような研究の基礎になっている、ということです。大学に行ってどの分野を学ぶかによって専門性が高まり、だんだんと出口(社会実装)に近づいていくことができると思います。」(高木先生)
2つ目の講義は、浅井圭介先生(元 東北大学大学院工学研究科 教授)による「進化する航空機 ~ライト兄弟から火星飛行機まで~」です。講義では、神話の時代から、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ライト兄弟、そして現代の惑星探査機に至るまでの、航空工学の発展について、お話頂きました。
浅井先生の講義では、何度か「クリティカル・シンキング」という言葉が出てきました。
「何でも教科書に載っているからと言って信じるのではなくて、自分の経験などと照らし合わせ、合わないところに、問題があるのではないかと考える姿勢を『クリティカル・シンキング』と呼びます。ライト兄弟の教科書(グライダーの先駆者であるリリエンタールの書いたもの)には、所々に「N」(おそらくNegativeとかNoという意味)という文字の印がついていました。彼らがクリティカル・シンキングを身に付けていた、ということだと思います。」(浅井先生)
航空機のCO2排出量を抑えるため注目されている水素航空機や、金星や火星のサンプルリターンを目的として開発された惑星探査機など、新時代の到来に向けてどんどん日々進化していく航空機のお話を受けて、質疑応答の時間では、沢山の手が挙がりました。
講義終了後、受講生の方から本日の講義についてお話を聴きました。
「最初、高木先生のテーマを見たときは、自分が目指している分野と関わりがない分野だと思っていたのですが、事前動画を視聴したり、資料を読んだりするうちに、実は自分の興味のある分野にもつながっていることがたくさんあることが分かりました。講義を聞いて、さらによく分かったので、これから自分の目指している分野には電気でどのようにアプローチできるのか、調べてみようと思います。浅井先生の講義では『科学というのは、自然界の中に存在する秘密を探り出す仕事で、エンジニアは自然界にないものを新しく作り出す仕事だ』とお話されていたのが印象に残っています。今までエンジニアに持っていたイメージと違う見方ができました。」(森田珠羽さん)
受講生のみなさんにはぜひ講義の感想などをブログに寄せて頂ければと思います。
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次回、高校生プログラム第9回特別講義は、2月3日(土)です。
2週続けての講義となりますが、頑張りましょう!