6月29日、東北大学青葉山キャンパスに、今年も高校生の受講生の皆さんが集まり、令和6年度の科学者の卵養成講座【高校生プログラム】の開講式と第1回講座が行われました。先日仙台も梅雨に入りましたが、当日は晴天に恵まれ、緑のきれいな青葉山キャンパスが、受講生の皆さんをお出迎えです。
開講式と第1回講座は、オンライン配信と会場での直接対面のハイブリッド形式で行われました。コロナ禍により、一時期はほとんどオンラインでの講座開催を余儀なくされましたが、今年は会場にて100名近くの新受講生を迎えることができ、会場は活気にあふれていました。
開講式では、始めに、科学者の卵養成講座 プロジェクト実施主担当の 安藤 晃 先生(高等大学院機構・特任教授)よりご挨拶がありました。
「科学者の卵養成講座は平成21年度からの活動実績があり、今年で16年目を迎えました。毎年、130名近くの高校生の受講生の皆さんを東北大学にお迎えして、大学の先生方を講師とする最先端の科学に触れる講義が行われています。その他にも、科学者の卵養成講座を高校生の時に受講した、現在大学生・大学院生であるOB/OGの皆さんが、メンターとして講座に参加し、サポートしてくれていますので、ぜひ先輩たちにも色々質問して頂いて、交流を深める機会となればと思います。」(安藤先生)
続けて、実行委員の 渡辺 正夫 先生(生命科学研究科・教授)より、運営スタッフ・メンターの紹介、ならびに科学者の卵養成講座の概要説明がありました。講座への出席、レポートの提出、科学コンテストへの挑戦など、1年を通して受講生のみなさんにはたくさんの活動・チャレンジが待っています。
「受講生のみなさんとって、興味があること・ないこと含めて、いろんなものに触れることが重要な時期です。そのためにも、毎月きちんとスケジューリングし、講座には休まないよう出席することが大切です。みなさんには受講生として選抜されたことに甘んじることなく、頑張って頂きたいと思います。」(渡辺先生)
さらに渡辺先生からは受講生の皆さんが「講座の主役になるために」重要な5つのポイントについてのお話もありました。積極的に質問をすること、ポートフォリオを活用すること、ホームページのブログ投稿等々・・・話を聞く受講生の皆さんの引き締まった表情が印象的でした。
続けて、科学者の卵養成講座OG/OBから、受講生に向けてメッセージがありました。OG/OBから講座の印象や、受講のポイントを聞いて、少し安心した受講生の方も多かったのではないでしょうか。
OB/OGの話に聴き入る受講生の皆さん。OB/OGの趣向をこらしたお話に、渡辺先生と事務局スタッフの下山先生も思わず笑顔に。
休憩をはさみ、開講式の後は、いよいよ特別講義。第1回講義は、伊藤 幸博 先生(大学院農学研究科・准教授)による「DNAと遺伝子組換え植物」です。
受講生は、事前学習として、1時間程度の動画で予習を行った上で、特別講義を受講します。講義では、動画のおさらいから始まり、遺伝子工学という大学レベルの講義へ一気に駆け上がる内容でしたが、受講生は熱心にメモを取りながら真剣な表情で聴講していました。また講義の中では、伊藤先生の研究室にて科学者の卵の発展・重点コースの受講生が行った実験についても触れられ、さらにこの実験の成果は、学術論文になって発表されたことも紹介されました。(Watanabe, A., Hatanaka, Y., Takeshima, Y., Sasaki, K., Takahashi, N., Ito, Y. “Evaluation of protein production in rice seedlings under dark conditions.” Scientific Reports 12, 7759 (2022))
講義の後は、受講生同士によるディスカッションの時間です。グループに分かれて、講義の中で思ったこと、分からなかったことなどについて意見や話し合いを行い、この後の質疑応答に向けて、質問内容をまとめていきます。各グループにはメンターがつき、ディスカッションのサポートをしました。
質疑応答の時間には、たくさんの手が挙がり、受講生の意気込みと関心の高さが覗えました。オンラインで聴講していた受講生からも多くの質問が寄せられていました。講座終了後には、時間内に質問できなかった受講生が、伊藤先生へ質問する姿も。
残念ながら直接質問が出来なかった受講生の方には、ぜひメールやポートフォリオシステム等を活用し、疑問を解決して頂きたいと思います。
講座終了後、受講生の方に感想をお聞きしました。
「学校の勉強では、問題が解けさえすれば・・・ということも多かったのですが、このような講義を受けて、実用として役に立つ大事な知識を学んでいるんだということが分かって、勉強をもっと頑張ろうと思いました。たくさん質問があったのですが、手を挙げやすい雰囲気だったことも良かったです。」(木戸美和さん)
「これまで自然界で行われていたことをもとに、応用し、遺伝子組み換えという技術ができたことを知って、すごいなと思いました。とても面白かったです。事前動画もあったので、講義を難しいと思うことはありませんでした。」(小林恒平さん)
初心を忘れず、受講生のみなさんには1年間楽しんで講義を受けて頂ければ幸いです。
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次回、第2回講義は、7月20日(土)です。