どうもこんにちは。仙台青陵の田邉幸喜です。僕は4月26日のナノテラス一般公開に行ってきました!ということで今回はナノテラスについて説明していきたいと思います。
突然ですが皆さん、ナノテラスは何に使う設備かわかりますか?「ナノテラス」の名前から何かイメージできませんか?
ナノテラスは、高輝度・高指向性の光(放射光)を使ってモノの構造や機能を”ナノ(10億分の1)”レベルで可視化できる『巨大な顕微鏡』なんです。 その名前には、物質の”ナノ”の世界を明るく”照らす”光という意味だそうです。
ナノテラスは世界最高水準の分析機能を持つ次世代放射光施設です。
ナノの世界を見るためには、理科室にある顕微鏡で微生物などを見るための明るさとは桁違いの光が必要になってきます。そこで放射光を使うのです。「放射光」とは、光速に近い速度で走る電子の軌道を磁石等で曲げたときに発生する非常に明るい光のことで、その明るさは太陽光の10億倍以上もあります。この光でやっとナノの世界を見ることができます。
ナノテラスは、線型加速器、蓄積リング、挿入光源、ビームラインの大きく分けて4つの装置により構成されています。僕が興味を持ったものを紹介します。
線型加速器とは?
線型加速器は、高周波電場を利用して粒子に繰り返しエネルギーを与えながら直線的に加速する装置で、粒子源から供給された荷電粒子が加速チューブを通る際に効率的に速度を増していく技術が使われています。
銅色のパイプの中に、CDのようなものが縦に何枚も入っています。このCDのようなものに高周波の電圧(+と-が超高速周期で入れ替わる)をかけることによって、電子(-)と反発しあう力(-)や、引き合う力(+)が働き電子が加速していきます。電子銃から発射された電子を最初に5万eVで何段か加速した後、50万eVでどんどん加速されていき最終的に3GeV(ギガeV:ジェブ)まで加速します。この線型加速器は長さ110メートルにもなるそうです。すごいですよね!
GeVとはすなわち109eV(10億電子ボルト)のことです。3GeVは、乾電池20億本と同じエネルギーだそうです。もう想像がつきません。
挿入光源とは?
永久磁石を使って電子の進む方向を無理やり曲げることによって(フレミングの左手の法則:永久磁石の磁場がB、電子の進む方向と逆向きが電流でI、無理やり曲げる力がFです。やってみてください)、電子から放射光を分離して放射光だけを取り出します。
この装置はナノテラスの中ではそんなに大きい装置ではないですが、かなり重要でほぼコアといってもいいくらい印象的でした。この放射光が幅広く自動車、電子機器、化学、製薬、農業、食品などの分野で、製品の開発に役立っています。
ナノテラスは、日本の未来や生活に影響を与えるだけでなく、世界の科学においても重要な役割を果たすでしょう。僕たちの生活がどのように変化するのだろうと思うと、胸が高鳴ります。
僕はナノテラスを見学して科学技術の魅力とその可能性を改めて実感することができました。ナノテラスが放つ光は、これまで見ることのできなかった物質の謎を照らすだけでなく、僕たちの未来も照らしているのだと感じました。
投稿者 : 仙台市立仙台青陵中等教育学校