※セスジスズメの幼虫の写真や動画が含まれています。苦手な方は閲覧にご注意ください。
皆様ごきげんよう。仙台白百合学園高等学校II年の石橋楓です。
庭の草むらで遊んでいたら、大きなセスジスズメの幼虫を見つけました。今日はそのことについて書いていこうと思います。
セスジスズメはスズメガ科に属するガの仲間で、日本では本州から沖縄まで広く分布しています。成虫は翅を広げると7〜8センチほどになり、がっしりとした体と、背中に通る淡い黄色の筋が特徴です。翅の表は地味な茶色ですが、後ろ翅には黒地にピンク色の帯があります。驚いたときに一気に広げることで、外敵を威嚇する役割を果たしているそうです(熊野町公式サイトより)。
夜行性で、サルビアやオシロイバナといった花の蜜を長い口吻で吸い、ホバリングしながら食べる姿はまるでハチドリのようです。光に集まる習性は「走光性」と呼ばれます。
幼虫の姿はさらに個性的です。体の両側に黄色い斑点が並んでいて、一見すると目がたくさんあるように見えます。これは「眼状紋」と呼ばれる模様で、天敵に対して捕食をためらわせる効果があると考えられています。実際に、野外での実験では模様のある模型の方が鳥に食べられる確率が低かったという報告もあります(日本生態学会大会要旨)。
また、尾の先には「尾角」と呼ばれる突起があります。針のように見えるため「刺されるのでは」と思ってしまいますが、実際にはまったく無害です。幼虫が匍匐していると、おしりの尾角をふりふりしていて、とても愛らしく見えます。胴が長く、遠目にはダックスフンドのようにも見えます。
セスジスズメは成長がとても早く、旺盛な食欲でサツマイモやアサガオなどヒルガオ科の植物をどんどん食べます。九州で行われた調査では、5月から10月にかけて年に4世代発生することが確認されており(九州病虫害研究会)、短い期間で大きく育つためにこれほどの食欲が必要なのだと納得できます。実際に観察すると、ヤブガラシをものすごいスピードでむしゃむしゃと食べていました。とにかくよく食べていて可愛いです。e3410be0e5b347ce97fd4c45a6288883農家にとっては注意が必要な害虫ですが、生態系の中では重要な存在でもあります。
セスジスズメは夏から秋にかけてよく見られる昆虫で、街中や庭先にも姿を現します。意外と身近に見られる昆虫なのですね。皆さんのお家のお庭でも、お尻の尾角を揺らしながら葉っぱをむしゃむしゃ食べている姿を見かけるかもしれません。 ちなみに「セスジスズメ」という名前は、成虫の背中に通る一本の淡い黄色の筋(背筋)と、スズメのように小さく素早く飛ぶ姿に由来しているそうです。見た目も動きも特徴的な、覚えやすい名前ですね。
この記事を書くにあたって参考にした資料はこちらです。
九州病虫害研究会「イッポンセスジスズメの発生消長」https://www.jstage.jst.go.jp/article/kyubyochu1955/25/0/25_0_84/_pdf
日本生態学会大会要旨「セスジスズメ幼虫の眼状紋と捕食回避」https://esj.ne.jp/meeting/abst/71/P1-098.html
熊野町公式サイト「セスジスズメ」https://www.town.kumano.hiroshima.jp/www/contents/1315462081932/index.html
最後まで読んでくださりありがとうございました。ごきげんよう。
投稿者 : 仙台白百合学園高等学校