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活動ブログ

2025. 09. 24 | まちかどサイエンス

くじらにはにていない

皆様ごきげんよう!仙台白百合学園高等学校の石橋楓です。
庭の倒木に生えていたクジラタケを見つけました。クジラタケの学名はTrametes orientalisで、サルノコシカケ科シロアミタケ属に属する多孔菌です。このきのこは、棚状に広がる傘が特徴で、直径は4センチから20センチを超えるものまであり、白から灰白色、時には淡い褐色を帯びています。表面は滑らかで細かい毛に覆われ、放射状のしわが見られることがあり、コルクのような硬い質感が印象的です。裏側には、白くて細かい管孔が整然と並び、0.5~2ミリの小さな丸い孔が蜂の巣のように密集しています。この管孔は胞子を放出するための構造で、指で軽く触ると柔らかく、少し凹む感触があって、かわいらしいです。幼い個体は特に肉厚で丸みを帯び、白く盛り上がった姿が可愛らしく、成長するにつれて傘が広がり環紋がうっすら現れる変化も観察していて楽しいです。クジラタケは腐生菌で、広葉樹の枯れ木、倒木、切り株に生え、リグニンやセルロースを分解して木材を白く腐朽させます。この働きが森の土壌循環を支え、次の植物の栄養源を作り出しているのです。ユーカリの倒木に生えたのは、湿気と有機物が豊富な環境がぴったり合ったからだと考えています。日本全国、北海道から沖縄まで分布し、ほぼ一年中見られます。特にシイタケのほだ木に大量発生すると栽培の邪魔になるそうで、そうなってしまうとシイタケの収穫は諦めた方が良いそうです。かなり身近なきのこですね。🍄寒い季節でも硬い菌体が残るので、冬の庭散策でも出会えるのが嬉しいポイントです。名前の「クジラタケ」の由来は、残念ながら不明です。文献や資料を調べてみましたが、はっきりした理由はわかっていません。ただ、動物にちなんだきのこの名前は他にも多く、ムジナタケやキツネノチャブクロのように、自然の連想から生まれたのかもしれません。あまりクジラには似ていませんよね。棚状の白い姿がクジラの背びれを思わせるという説もありますが、私が見た個体はむしろ大きな白いクラゲや、木に張り付いた陶器の欠片のように感じました。遠目には目立つけど、クジラのダイナミックさとは随分違うので、名前の由来が余計に気になります。このクジラタケの魅力は、何と言ってもその管孔の美しさです。幼菌の純白で厚みのある可愛らしい姿から、成長した灰色の硬い棚まで、表情の変化が豊かで、毎回新しい発見があります。庭や公園の枯れ木を探すだけで見つかる身近さも魅力で、派手さはないけれど、じっくり観察すると森の静かな循環を教えてくれます。遠目からでも白く目立つので、散策のサプライズとしてぴったりです。好奇心から、クジラタケを少し齧ってみました。よくわからない味で、硬くて木質っぽく、ほとんど風味がありませんでした。ただ、鼻を近づけるとエノキみたいな独特の匂いがして、少し新鮮なきのこの香りが混じった感じです。もちろん、食用には向かないのでおすすめしませんが、こんな小さな実験でさらに親近感が湧きました。硬くて消化に悪いし、食毒も不明なので、絶対に真似しないでくださいね。庭で見つけたクジラタケは、切り株の上で静かに分解を進め、庭の小さな生態系を支えています。白い管孔の精密さと、名前の謎めいた魅力に触れると、自然の奥深さを改めて実感します。皆さんも庭を歩くときは、他の切り株や枯れ枝にも目を凝らしてみてくださいね。きっと、クジラタケのような地味だけど心惹かれるきのこが待っているはずです。この発見で、日常の庭が少しだけ豊かになりました。

投稿者 : 仙台白百合学園高等学校


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