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活動ブログ

2024. 08. 28 | まちかどサイエンス

仙台の昆虫、スズムシ

東北学院高校の矢口智也です。夏休みも終わり(東北の高校はみんな終わり?)、再び日常に戻りつつあります。体調に気をつけてお過ごしください。

さて、今回は秋へと季節が移り変わっていくということで、仙台市の虫として登録されている鳴く虫の代表格、スズムシについてです。

 

私は小学生の頃に、区役所で配布されたスズムシがきっかけでスズムシ飼育に目覚め、興味を持ちました。名前の通り、鈴を鳴らしたときのような鳴き声がするのですが、残念ながら仙台市の大半の地域でスズムシの美しい音色を聞くのは難しいことでしょう。(もしかすると、自然豊かな地域であれば鳴き声を聞くことが出来るかもしれません。)なぜなら、スズムシは背丈の高い植物が多く自生している、暗くて湿った場所を好み、農薬などの化学薬品の影響がかなり低い自然度の高い地域に生息するからです。今は野球場があったり近くにビル群が建ち並んでいたりと、都市化が進んでいる宮城野原では、古くから多く生息していたというくらい、仙台市民にとって身近な昆虫の一つでしたが、高度経済成長期以降、自然が多く破壊されたことで、仙台市に限らず、全国的にも数が減っています。具体例として、スズムシ群棲地の北限であった秋田県の五城目町は、元々県の天然記念物にも指定されていましたが、数減少のために2020年には群棲地から解除されたそうです。(北海道は移入、北東北も元々はいなかったと考えられる。)今のところ環境省が作成しているレッドリストには登録されていないものの、このまま数が減少すれば古来から日本人が親しんでいたスズムシがいなくなってしまいます。

今回は仙台市のスズムシ保護事例を紹介します。宮城野原がある仙台市宮城野区では「すずむしの里づくり」というプロジェクトを行い、例えば私がスズムシをもらったように、市民への配布を行っています。それに留まらず、小学校への出前授業など、より多くの人にスズムシのことを知ってもらえるように様々な活動をしているそうです。1971年に仙台の虫として登録され、これからも音色が響き渡ってほしいという人々の願いがこのプロジェクトが現在でも継続されている理由なのではないでしょうか。スズムシに限らず、日本中、世界中には絶滅が危惧されている生物が多く存在します。人間が多種多様な生物を守り、共存していくには、一部の人だけではなく、多くの人が知り協力していくことで達成されると私は考えます。

 

今回もご覧くださりありがとうございました。9月1日の東北大での日本植物バイオテクノロジー学会の開催まであと少し。少々台風が心配ですが、無事全員が参加できるといいなと思います。

 

引用元)仙台市HP 宮城野の音(すずむしの里づくり)
宮城野の音(すずむしの里づくり)|仙台市 (city.sendai.jp)
毎日新聞 2020年2月13日 鳴き声消えた 北限の「スズムシ群棲地」指定解除 秋田
鳴き声消えた 北限の「スズムシ群棲地」指定解除 秋田 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

投稿者 : 東北学院高等学校


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