こんにちは。秋田県立大館鳳鳴高等学校1年の飯塚凜人です。前編では長走風穴高山植物群落について紹介しましたが、今回は後編ということで、風穴そのものをメインに紹介します!
最初に長走風穴館の入り口で見学のお客さんをお出迎えしていたのは、「長走風穴冷蔵庫(1号倉庫)」でした!中に入ってみると、ひんやりとした冷気が気持ちいい、外の世界とは別世界の空間が広がっていました。(見学日:9月18日 9月といえば初秋で涼しくなり始める時期ですが、秋田県大館市は盆地であるため、むんむんとした熱気が籠っている状態でした。)
↑1号倉庫の中。ひんやり気持ちいい。
↑1号倉庫の内部は4.9℃。それに対し外気温は24.9℃。
中と外の気温差は、なんと20℃
夏は涼しい風穴の倉庫ですが、「冬は外よりももっと寒くなってしまうの!?」と思った方はご必見です!なんと、風穴の倉庫は冬になると温かくなるのです!このような現象が起きる理由として考えられる説はいくつかあるようですが、特に有力な説を紹介します。
長走風穴は岩くずが堆積してできた国見山の斜面にあります。
①冬は地中の温かい空気が地中の隙間から漏れ出る。空気が減った分を埋めるために、冷たい外気が補償流として地中へ吸い込まれる。
②春になり雪解け水が地中に浸み込むと、①で吸い込まれた冷気が雪解け水を冷やすことで、地下に氷ができる。
③夏になると冷たい空気が、岩くずの隙間から外へと漏れる。その結果①と同様に、補償流として温かい外気が地中へと吸い込まれる。
(年間を通して、①~③が繰り返される。)
①冬の様子
②夏の様子
その他に、水が蒸発するときに周囲の熱が奪われ、空気が冷えるという説や、氷河期の冷たい空気が地中に残っているなどの説があります。現在長走風穴は、この特徴的な環境を生かし、夏は避暑地に、冬は暖房として人々を癒しています。しかし、昔は林業や農業にも利用される一面も持ち合わせていました。造林用の種子の保管や、農作物の促成栽培・抑制栽培に行かされるなど、昭和の中ごろに電気冷蔵施設が導入されるまで活躍していました。風穴の利用に最初に着目した佐々木耕治は、風穴王という呼び名で現在も知られています。
↑3号倉庫 近づくと冷気が漏れ出ていたのを感じた。
↑4号倉庫跡 倉庫としての形は残っていなかったが、岩の隙間から冷気が漏れ出ていた。
↑なんだか怪しげな雰囲気…….。
皆さん、前編と後編に渡る長走風穴の紹介はいかがでしたか。もし、少しでも興味を持ってくださった方がいたら、ぜひ長走風穴へ足を運んでいただければと思います。また、来年の1月には「全国風穴サミット」が大館市の長走風穴で行われます。日本の数ある風穴の中から1か所が選ばれて開催されるイベントですが、冬開催で温風穴に着目するのは今回が初めてのようです!!ぜひ、そちらにも参加してみてはいかかでしょうか!?今後も地元に根差した科学の魅力が、幅広く知れ渡ってほしいです。最後まで読んでいただきありがとうございましたた(^▽^)/
全国規模での開催に先立って開催された、大館市内でのプレ企画について紹介しているサイト
・http://www.oga-ogata-geo.jp/blog/news/24271.html
・https://akitanote.jp/bbs/img/81.pdf
投稿者 : 秋田県立大館鳳鳴高等学校