close

メニューMENU

TOPページに戻る
J.of Science EGGS 東北大学基金へのご協力のお願い 探求型 科学者の卵

活動ブログ

2025. 09. 28 | まちかどサイエンス

PXEを知ってほしい!

皆さんこんにちは!山形県立酒田東高等学校の佐藤謙司郎です。偶々YouTubeで見たPXE(弾性線維性仮性黄色腫)について皆さんに知ってほしいと思い、記していきたいと思います。(今回初めての投稿なので稚拙な文章かもしれませんが大目に見ていただけると助かります・・・。)

 

PXE(弾性線維性仮性黄色腫)は弾性線維に変性・石灰化が生じ、組織障害を引き起こす指定難病です。皮膚の弾性が失われ太い皺、弛緩した皮膚となるほか、眼に亀裂が入り、視力低下・視力障害が生じる、血管内が狭くなり心筋梗塞、脳梗塞を引き起こす可能性があります。明確な予防法が確立されていないのが現状です。

 

この病気の原因は、16番染色体のABCC6遺伝子が合成するMRP6分子にあることが判明しています。MRP6は輸送膜タンパク質ABC群に属し、この群の分子異常は代謝性疾患など様々な疾患の原因になります。しかし、MRP6分子が弾性線維に変性・石灰化をもたらす詳しい理由は判明していません。

 

PXEの原因遺伝子を発見したのは、専業主婦であるシャロン・テリーさんでした。二人の子供がPXEと診断され、研究者が遺伝子の採取と採血のために訪れるようになりました。医学研究では互いに共有することがない、と知った彼女と夫はある行動を起こします。医学部の図書館に行き、PXEについて独学を始めたのです。夫は建設業、シャロンさんはもとは修道女と、二人は科学者としての背景が全くありませんでした。それでも、医学辞書と科学の教科書を片手に勉強したといいます。さらに、研究者たちは互いに競い合い、協力していなかったために、PXE解明の系統的な取り組みがされていない現状を打破しようと、二人はPXE InternationalというPXEに関する研究の企画・推進を行い、また患者個人へのサポートも行う非営利団体を設立しました。そして、ハーバード大学の実験スペースを借りて実験を始め、ついに原因遺伝子を発見することに成功しました。

 

今回は、PXEを通してシャロン・テリーさんについて皆さんに知ってほしいと思い投稿しました。シャロン・テリーさんの経験と行動は、科学者がどのような存在であるべきか教えてくれるよな気がします。医学の世界では患者の生死にかかわるものであるからこそ、科学者同士が互いに協力する体制が当たり前になっていってほしいと思いました。

 

補足

弾性線維:主成分はエラスチン。伸縮性があり簡単に伸びる一方、ゴムやばねのようにもとに戻る性質がある。毛細血管以外の動脈・肺胞壁に存在。

輸送膜タンパク質ABC群:ATPを加水分解し、得られるエネルギーを利用して化合物を能動輸送する。

 

参考文献

・難病情報センター 弾性線維性仮性黄色腫(指定難病166)

https://www.nanbyou.or.jp/entry/4580

・杏林大学 弾性線維

https://www.kyorin-u.ac.jp/univ/user/health/pathology/stain/lec05376/m00.html

・京都大学大学院薬学研究科構造生物薬学分野 ABC transporter

https://www.pharm.kyoto-u.ac.jp/structbl/research/abc-transporter/

・日本語TED新着 シャロン・テリー: 私の子供は科学的に解明されていない稀少疾患患者だった―私が研究すると決めるまでは

https://www.ted-ja.com/2017/08/sharon-terry-science-didn-t-understand.html

投稿者 : 山形県立酒田東高等学校


Author

トップへ