こんにちは。秋田県立大館鳳鳴高等学校1年の飯塚凜人です。秋田県大館市では、2月上旬に「アメッコ市」という毎年恒例の有名な行事が開催されました。アメッコ市の飴を食べると、1年間健康に過ごせるという言い伝えがあるので、飴を食べて今年も元気に科学を追究していきたいものです。約半年間続いてきた、研究基礎コースの特別講義も先日最後の1回を迎えてしまいました。あっという間に過ぎていく日々に、少し寂しさを感じています。次回は発表会、閉講式ですが、最後まで楽しみ頑張っていきたいです!さて、今回は2月4日に開催された特別イベントと、2月18日に開催された今年度最後の特別講義である第8回講義についてご報告いたします!
特別イベントは、株式会社リバネスの齊藤想聖様による「『研究の世界に飛び込もう!』という研究とはそもそもなにか?」についてのご講義がありました。リバネスは、研究者や学校の先生、さらには研究に勤しむ高校生を支援したり、研究分野が類似している研究者同士を仲介したりして、研究を発展させることに広くご貢献されている企業だと知りました。講義の中で、勉強と研究の違いを考える時間がありました。私はその違いは「勉強は決められた範囲を、既存の知識を学ぶことで、研究は自分の興味を趣味の延長線のような感覚で追究していく」ということであると思いました。その他、自分の興味のある分野を多角的に捉える時間があったり、研究のイメージが広がりその他、研究を進めるうえでの問いの立て方、仮説の検証についてのサイクルについてなども教えていただいたりして、今後研究を行っていくうえで励みになりました。様々な方向性から課題解決のアプローチを考えていけるようにしていきたいです。
また、浅井圭介先生による「進化する航空機 ~ライト兄弟から火星飛行機まで~」についてのご講義がありました。火星飛行機といいうワードが気になってご講義に臨みました。世界における航空工学は、15世紀のレオナルド・ダ・ヴィンチ考察から始まり、有名な科学者が何度も試行を繰り返し失敗が続いていましたが、1903年にライト兄弟が人類初の飛行を成功させました。(ここまでは有名なお話)そこから現在メジャーとなっている旅客機などの航空機が生まれていく過程で、ベルヌーイが提唱した空気は流体であるとう説が興味深かったです。そこからベルヌーイはベルヌーイの定理(流速が上がれば圧力は下がる)という定理を導き出します。(これはプレーリードッグの巣穴換気にも使われています!!)これを応用して翼の形を設計したことで、飛行機に揚力が働くようになったそうです。現在は天体の探査において航空機が導入されることが検討されており、各天体の気象条件を考慮しながら機体のデザイン設計が進んでいます。
翼の向上により渦が生まれる。
続いて第8回講義についてです。始めに岩渕 好治先生による「薬を創る化学技術」のご講義がありました。紀元前は動物の汚物を薬として使うこともあった人類ですが、ヴェーラー (1800 – 1882)が偶然に無機化合物から有機化合物(尿素)を発見して以降、創薬分野が発達していきました。東北大学も様々な学部が共同で、新薬になりうるリード化合物を集めて共有する化合物ライブラリーというものがあり、創薬分野に力をいれているそうです。その他、コンピュータやAIを用いて自然界の遺伝子資源を分析し、有用な化合物を見つけ出すなどという技術もあり、新薬開発の精度が向上していると感じました。また、カレーに含まれるクルクミンという、がんやアルツハイマーに効く成分があり、クルクミンは調理によって抗腫瘍活性を増強するという実験結果があるそうです。人間が食事によって効率よく病原菌を排除したり、免疫を向上させたりできるような未来が近づいていることを実感し、難病治療への予想外のアプローチに興味を持ちました。身近に思っていた植物にも薬のもととなる成分が含まれていないか、自分の中で調べてみたいと感じました。
次に、西條 芳文先生による研究倫理によるご講義がありました。生命や世の中への悪影響を考慮したうえで適切な実験を組み立て、真摯に研究に向かう若手の研究者を育成するため、早い段階で研究者に教えられるべきものだと感じました。その点で、高校生で研究倫理の一部に触れることができたことが光栄でした。国際的な中高生の研究の大会である、ISEFには「脊椎動物・人体・微生物を用いた研究」は問題になるそうです。iPS細胞などの開発が進み、実験動物に危害を与えずに研究が可能になる未来が近づいているように感じますが、高校生は金銭や実験環境などの理由でこうした最新技術を用いることが困難です。しかし、3R(Replacement・Reduction・Refinement)の原則に留意したり、研究対象への理解を深めることで、研究倫理に準拠した研究ができるようになることを知りました。一方で最先端の研究であるiPS細胞やクローンの研究を例に考えると、全ての実験動物を手頃な価格で無生物に代替化できるわけではないし、新薬開発を待ち望む難病を患う患者のために早急な科学発展が求められるケースもあります。このような場合において、科学の発展を願う多くの人々と、無数の実験動物生命を天秤にかけたとき、どちらを選択するかといえばやはり人間ではないかと思います。このように科学発展と研究倫理が矛盾して生じてしまうのが、研究の難しさだと感じました。受講生同士のディスカッションの時間もあり、自分になかった考えを得ることができました。
今回は計4つのご講義について紹介したため、内容が盛りだくさんとなりました。学校生活も忙しいですが、その中で短期間で集中して様々な分野の科学に触れることができて、自分を成長させるよい機会となりました。また、研究倫理の眼を養うことができたので、様々な科学実験の実験内容を自分なりに分析できるようになっていきたいです!科学者卵のご講義を通して、大学で行われている、農学、生物学、物理学、情報科学、地学、医学、歯学、薬学などの最先端の研究に触れたり、自分の研究に対する姿勢や視野を向上させたりすることができました。このような機会を与えていただいたことに、本当に感謝しております。次回はついに最後の研究基礎コースです。最後の最後まで、科学を全力で追究していきます。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
投稿者 : 秋田県立大館鳳鳴高等学校